長野順子×清水朝子 二人展「インフィニティ」のお知らせ

下北沢ギャラリーHANAで銅版画家長野順子さんと展示を致します。

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2年前だったでしょうか。長野さんの展示に私の方からお邪魔し、その緻密さと美しさ、世界の壮大さに息を呑みました。作品に顔を近づけたり離れてみたりしながら、一体彼女の世界はどこからやってくるのだろうと思ったものです。自然豊かな土地に棲み、日々その目で草木の再生、近隣の小さな生き物たちの観察をし続けている。営みの中の ”ささやき” が、彼女の耳には届くのかもしれません。実際、絵に描かれた次元を行き来しているのだろうと思うことがあります。私の作品も「視えない何かしらの」を意識しますが、自らの手で「不可視」を直接視覚化できる才能と、熟練の技術をもつ長野順子は私の憧れそのものです。
私たちは会うなり、何か一緒にやりましょうという話になりました。共に過ごした時間は無いに等しくジャンルも全く違うにも関わらず、です。表現の世界に生きる人間が感じる”喜び”、そこに通じ合えるものがあったのかもしれません。こんな体験は初めてでした。
「人間も悠久の時の流れの一粒」という順子さん。今回の総タイトルを私の作品「インフィニティ」からとりしましょうと提案してくれました。
お互いの作品がどのように融合し、反響し合うのか。会場に生じる密度が楽しみでなりません。
銅版画とはざっくりいうと銅が酸に溶ける性質を利用し、版の凹みにインクを詰めてプレス機をかけるのだそうで、このプレス機は大変に重いらしいのです。より巧みに表現の深みを与える”腐食”という技法はとてつもなく根気のいる作業でしょう。私はバライタ紙(ハロゲン化銀という感光乳剤を塗った紙)を現像液につけ込む作業を散々経験しましたが、複雑さや労力はこの行程の比ではないだろうと想像します。
清水の出展は「Infinity」シリーズより4点、そしてこの展示のために撮り下ろし始めた花の写真「せれんの庭」より8点ほど展示予定です。
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清水朝子・長野順子 二人展
「インフィニティ」
ギャラリー HANA
2021年6月19日(土)ー27日(日) OPEN 11:30-19:00 火曜休廊 / 最終日17時まで
〒155-0031 東京都世田谷区北沢3-26-2 下北沢駅 [小田急線 東口・京王線 中央口] 徒歩5分
自然に潜む神秘的な気配、瞳には写らないモノを写真で表現する清水朝子と、自然から着想を得て、空想上の世界を再構築する銅版画家・長野順子による二人展。清水は、今展のタイトルともなった「Infinity」シリーズを主体に、撮り下ろしの花のシリーズを発表する。長野は、絶え間なく「続いてゆく」自然の営みに触れる中で生まれた作品を、新旧織混ぜて出品する。写真と銅版画、異なる技法と感性で表現活動を続けるニ人だが、共に幻想的な美しい作風でも知られている。
初共演となる今展、それぞれの作品に潜む普遍的なテーマにも、写鏡のように共有する部分が多い。二人が織りなす新しい世界にご期待ください。
(Gallery HANA オーナーより)

記載日 2021年6月12日