A.I.R(フィンランド)滞在記その17 氷点下の遊び

様々な手法で表現を試みるアーティストたちに囲まれるフィンランドのアーティストインレジデンスArteles生活。いい刺激を受けます。

私の撮影は早朝と夕方が中心です。昼間は時間が空きます。そこで撮影だけではなく何か作ってみようと思い立ち、先人が置いていった道具を使い色々意味不明な試みをしました。

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中庭倉庫やスタジオには先人の置き土産が色々あります。

 

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うう〜ん、、なんか違うな。。

毎日絵の具をカップに溶かして一晩放置。カラフルボールを作ってみたり。。。

 

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氷点下の遊び。

適当に色水を垂らしてまた一晩放置して。凍ってその上に霜が降りて。。以下繰り返す。

そこでできたのがこれです。

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使用カメラ LeicaSE

何かが現れた!可愛い。こんにちは、君はだれ?

このシリーズで何枚か!と軽く力みましたが、私の貪欲さに”森の妖精”は逃げてしまったようです。これ以降はグッとくるものがなく、1枚だけの作品となりました。

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Artelesの中庭と森。

 

晴れた日の夜は氷点下20℃以上まで行ったアートレスの生活。こんな冷え込む夕方はサウナの準備です。

2019年6月21日記載(滞在は1月)

A.I.R滞在記その15 アートランドトリップ

すがすがしい陽気ですが、再び雪中のレジデンス体験に話を戻します。

制作の合間に息抜きができるようスタッフは色々サポートしてくれます。今回は Nancy Holt (1938~2014 アメリカ)の「Up and Under」とAgnes Denes(1938,ハンガリー生まれ)の「Tree Mountain」を観に行きます。まずはArtelesスタッフ、イダのドライブで「Up and Under」のあるSasinitie 555,Pinsioへ。

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_ASN0598 トンネルは南北東西に向けられています。円形の空は新緑の季節にも見て観たい。

様々なイベントにも対応できる等に企画されたというアートオブジェ。

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死体??と慄くアーティスト(オーストラリア・カナダ)女子二人。しかし治安のいい国に住むイダは臆せず確認に行きます。

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_ASN0585 お尻で降下。お決まりです、大人だってやります。

 

次は舗装された雪深い道を歩き、いざアグネスディーンの「Tree Mountain」へ。環境問題に立ち向かうアーティストの先駆者の一人だそうです。

 

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パイナップルやひまわりに見られるというThe Golden Section(黄金比)を模して植林された作品とのこと。1996年国連環境計画とフィンランド環境省からの支援を受け、最終的には未開の森林を生み出すという目的で保護された土地に設計されたプロジェクトとウェブサイトにはあります。
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空中から見るとその幾何学模様がよくわかるらしいのですが

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頂上までいくの??

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密林で頂上感ゼロ。。。

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帰ります。(これは作品ではありません)

 真理の表明や問いに人生をかけるアーティストの”業”は強い吸引力があります。

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西フィンランド

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イダ、運転ありがとう。外はマイナス13度でした。

2019年6月1日記載

A.I.R滞在記その14  サイレントデイズ、そしてコミュニケーション

フィンランドのアーティトインレジデンスArtelesのユニークなルールの一つ、週末の「サイレントデイズ」があります。インターネット断食の加え毎週末の二日間、私たちは会話はおろか挨拶もしません。ただひたすら己に向かうのです。日本で静かな生活を送る私には心地よい週末、イタリア系のルーツも持つ写真家アイオナに言わせると「おしゃべりができないなんて、ぢごくだわ….。」

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おしゃべり大好きナンバーワンのティムもこの日は黙々と。。。

西洋人のおしゃべり好きには驚きました。毎日まいにち同じメンツでよくこうも話すことがあるなと思います。イギリス生活10年以上の友人曰く、「日本人以外は本当におしゃべりが好き、会話を楽しむのが好き」なのだそう。

よく西欧では自分を主張できないといけないと脅されて(?)きましたが、おしゃべりである必要はないというのが私の実感です。要は「何をしている人なのか、何を考えているのだかよくわからない」ことが彼らの不安や不快感を煽るのではないかと思います。

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独自の装置を持ち込んで集中する、コーリアンのジーヨンは鍵盤楽器も得意。絶対音感の持ち主でした。

創作が目的でありつつも、共同生活の中お互い気持ちよく生活したいもの。それに制作に向かう時間はたっぷりあります。彼らとの食事やレクリエーションの参加は息抜きであり刺激があり、楽しい経験です。

レジデンツのメンバーは13人で年齢幅は60代から20代まで。男女半々で国籍は様々でした。悠長な英語で振る舞えない、長いおしゃべりがストレスに感じる私は、初頭に催された自由参加のカジュアルプレゼン(結局全員参加)に加わりました。私という人間がどういう創作をするのかを知ってもらうためです。その後は自分の得意範囲での”コミュニケーション”をとりました。パーティの時やちょっとしたタイミングで写真を撮って彼らにあげる。自分に不要なストレスを与えず、且つ20代のアーティストはママにも送ったよ!と喜んでくれました。それらの写真は許可のもと、このようにブログにも使用しています。

Arteles Silence Awareness Existence Retreat residency program Winter 2019-20 in Finlandの募集を開始したそうです。https://www.arteles.org/sae_residency.html

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