落款「葆光」

一昨年、友人の書家小林俊弘先生より落款を頂きました。お願いした文字「葆光」が彫られた一生物。制作過程で出会ったこの言葉は、キラキラとしない、奥底から心中のように淡く光ることを指すようで、荘子が真理や叡智をイメージで表現したそうです。”簡単に手に入る答えは答えではないのだ”という気付きに悶々としていた頃です。_AGN0072発売中の雑誌「日本カメラ」5月号FHOTO&TALKのテキストで市川泰延氏が拙作についてこう記して下さいました。「清水さんの作品に共通しているのは、仄かな光の存在感だ」。6作品の終章に掲載した「Finding a Pearly Light」(2018年制作)はまさにそこにリンクした作品。前作「Storyteller」も葆光への歩みを予感させています。

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「Finding a Pearly Light」(2018年制作)

広島在住の、教師でもある小林さんは写真撮影もお好き。自ら撮影した美しくミニマルな風景写真に、ご自身の書を印されます。遊び心満載の作品は優しさと愛に溢れています。私が担当したSONY仔犬カレンダーを送った時のお礼と言って彫ってくださったのですが、海老で鯛を釣ったようで恐縮。この印はスペシャルボックスバージョンに押されています。

記載日2020年4月26日